弟子にして下さい
前回の記事で参考にした本の著者・杉浦日向子さんに、高校生の頃、
弟子にして下さい、という手紙を出したことがありました。
杉浦さんとは、NHK『コメディーお江戸でござる』に出演・解説していた、
江戸風俗研究家の方です。 着物姿と笑顔が素敵な方でした。
認められれば、わたしはいま頃、ワセダにいなかったかも知れない。
しかし、手紙は受け付けていない、という知らせがNHKから届きました。
一年後、杉浦さんは番組を降板、また一年後に、天国に行ってしまいました。
ちょうど浪人中の出来事でした。
テレビがなく、世の中の情報に疎かったわたしに、その衝撃は突如やってきました。
母からの電話でした。 驚かないでね、という断りの後、母はわたしに告げました。
その日わたしは、マルイに日傘を買いに行っていました。
夕立がザッときて、サーッと引いたと思ったら、夕日がポカポカ温かい日でした。
黄金色にキラキラと、世界は光って見えました。
そのキラキラが、無念と悲しさでいっぱいだったわたしの心を紛らわしました。
――さて、いま現在、わたしは「第二の杉浦日向子」になるべく、何をしているだろう。
杉浦さんに宛てた手紙の中で誓ったことを、何ひとつ実行していないのではないか。
しかし、決して江戸風俗に興味がなくなったわけではない。 江戸の文化が大好きだ。
江戸風俗研究もそう、歌舞伎研究もそう。
これまでしてきたジェンダーやコリア研究が無駄だったとは、決して思わないけど、
もう少し、入学前に抱いていた想いを、大事にしていきたいと思う。 頑張らなきゃ。
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