おじさんを救え!
弱者を苛めるのは、たいてい弱者です。
デカ犬に向かって吠えるチビ犬と一緒です。
だから、苛めてるひとの方が惨めに見えます。
大衆の前で辱められているひとがいたら、皆さんはどうしますか?
正義のヒロインとして活躍するシナリオは、何本もできています。
こう言う。 ああ言う。 ああ殴る。 妄想の中のわたしは、怖いものなしです。
ただ、実際にやってみたのは、記憶にある限りで、二回でしょうか。
小学生のとき一回、浪人生のとき一回。
小学生のときのは取るに足らない話なので書きませんが、
浪人生のときのは、全くの他人を満員電車の中で救った(つもりな)のですから、
(自分なりに)勇気を振り絞って頑張った方です。 ご紹介します。
あれは、受験で早稲田に向かう途中、満員電車で付き添いの母と一緒に、
人間サンドウィッチになって揺られていたときのことです。
黄色いジャンパーの兄ちゃんが、スーツのおじさんに言い掛かりをつけたのです。
「朝っぱらからこんなの読んでんじゃねーよ」と。 その後もブツクサブツクサ。
おじさんが何を読んでたのか気になりつつ、いつまでも文句たれてる兄ちゃんに、
だんだん苛立ってきました。 罪がないおじさんは、迫力に圧され謝りました。
謝る必要ないじゃん! おじさん、謝っちゃダメだよ! こころの中で言いました。
にも関わらず、まだ何か言ってやがる!
何か、犯人(じゃないけど)の気を別の方向に逸らすいい方法はないか、と思い、
わたしが(車内にしては)割と大きな声で言った台詞、それが、
「うんこ漏れそう」。
一緒にいた母唖然。
しかし、母の話によると、わたしの後ろに立っていたサラリーマンの方がオロオロ。
周りの方に多大なるご迷惑をおかけしながらも、作戦成功。 犯人は黙りました。
きっと、わたしと母の、「間に合う?」「ダメかも」、という会話に、
耳をそばだてていたのでしょう。
ドアが開くと、おじさんはそそくさと出て行きました。 当たり前です。 可哀相に。
ひとの波に巻き込まれ、運よく兄ちゃんがわたしの前にきたので、
ここぞとばかり、電車の揺れのせいにして打つかってやりました。
本当は、おじさん自身を全く救えていないし、わたしがここまでやる必要はなかった、
と思いますが、今日が本番!という日に、朝から嫌な気分でいたくなかったのです。
これはつまり、おじさんを救う名目で実は、試験直前の自分を奮起させたのでした。
受験生の皆さん、群集心理に巻き込まれず、気持ちよく机に向かって下さい!
なぁんて、群集心理に巻き込まれたの、わたしの方ですけど。。。
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